2021 年 76 巻 5 号 p. I_987-I_999
災害時の人道支援ロジスティクス(HL: Humanitarian Logistics)は,被害を最小限に抑えるために重要な役割を果たす.未曾有の大災害となった東日本大震災では,初めて国による物資支援が実施されたものの,様々な問題が発生した.これ機に物資支援に関する法律が改正され,我が国の HL 体制は大きく変化した.2016 年に発生した熊本地震では,法律が改正されて以降,初めて国主導の物資支援が実施されたが,多くの課題が報告されている.本研究では,東日本大震災と熊本地震における物資支援活動を比較することにより,現行の HL 体制の特徴を明らかにし,目指すべき HL の在り方及び今後の研究ニーズを示す.