2014 年 70 巻 5 号 p. I_879-I_888
成長著しいアジア地域では,低炭素な交通体系の構築が求められている.本研究では,大メコン圏の地域間貨物輸送における中長期の低炭素な機関分担像を示すことを目的として,輸送費用もしくは輸送時間と組み合わせたCO2排出量を目的関数とし,機関分担率を決定変数とする目標計画問題として定式化した.そして,バンコク-ハノイとバンコク-ヤンゴンの2つの路線をケーススタディとして取り上げ,既存輸送機関の改善と貨物鉄道導入の2つのインフラ開発シナリオと,複数のCO2排出量削減等の目標に対して,最適な機関分担率を算出した.計算の結果,路線や削減目標,開発シナリオごとに最適機関分担率の差異が明らかになった.さらに,貨物鉄道導入により高い削減目標の達成が可能なことがわかった.