2017 年 73 巻 4 号 p. I_1393-I_1398
本研究では,従来の解析ではあまり考慮されていなかった河床上昇による洪水氾濫規模への影響について着目し,分布型流出モデル,一次元河床変動計算,平面二次元洪水氾濫モデルを用いて未観測流域で発生するフラッシュフラッドの氾濫解析を行った.入手可能なデータが限られていることから,2000年4-9月の観測水位・流量を用いて河床変動計算を行った後,2006年4-5月の衛星3時間雨量を用いて流出解析を行い,氾濫解析で用いるための河床高データとフラッシュフラッドによる流量それぞれのデータを作成した.解析結果より,河床上昇を考慮した氾濫解析では考慮しなかった場合に比べて浸水面積に二倍以上の違いがあり,河床上昇考慮の重要性が示された.水文・土砂データ収集および観測を行うことで解析手法を拡張していくことが今後の課題である.