土木学会論文集C(地圏工学)
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和文論文
体積含水率に着目した降雨時の斜面の健全性を評価するための一考察
小泉 圭吾小松 満小田 和広伊藤 真一堤 浩志
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2021 年 77 巻 2 号 p. 129-139

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抄録

 筆者らは既往の研究より,降雨による表層崩壊に対し,初期擬似飽和体積含水率(IQS)に到達した後に変形が発生するという知見を得た.一方,変形と深度方向の体積含水率の関係性の把握や,実斜面での検証が課題とされていた.本論文では,この課題を解決するための模型実験と現場計測による結果を取り纏めた.深度方向の体積含水率の変化を捉えることで,変位発生までにIQSから浅層における飽和帯の形成,地下水位上昇までの過程を把握できる可能性が示された.実斜面での計測結果を,模型実験結果を基に考察したところ,両者に整合性があることが確認された.また,降雨時の斜面がIQSに達したかどうかを判断する指標としてIQS指数を提案し,実測データに適用したところ,体積含水率がIQSに到達した時点をリアルタイムに検知できる可能性が示された.

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