2020 年 76 巻 5 号 p. I_471-I_478
本研究では,数値気象モデルによる降水量予測補正に,複数のショートカット接続を持つ深層畳み込みニューラルネットワーク(U-Net)を導入した.入力データについては2001年8月の京阪神地域における数値気象モデルの降水量と地上鉛直風速の出力を学習用,検証用に分割して用いた.通常の深層畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた場合と比較して,空間スケールの大きい(一つの降水域が直径数十km程度の)降水事例では,U-Netの導入によって降水強度が周囲よりも大きい(5mm/hr,10mm/hrを超える)領域を表現可能となり,減災上重要な強い降水を補正できる可能性が示唆された.一方(一つの降水域が直径数km程度の)局地的な降水事例では降水強度を平滑化する傾向があり,更なる改良が必要と考えられる.