2018 年 74 巻 2 号 p. I_121-I_131
落石調査の効率化に向けて,航空レーザ測量データから作成した微地形強調図と,タブレット端末上で作動するGISを用いた手法を検討した.実験フィールドにおける微地形強調図を用いた調査では,比高差約1.5m 以上,傾斜角60°以上の急崖を机上抽出可能であったが,安定度までは判定できないため現地調査が必要であった.現地調査では,山の斜面における微地形強調図とタブレット端末が示す自己位置の関係性について検証し,タブレット端末が示す自己位置が落石発生源へのアプローチに効果的であることが明らかとなった.また,タブレット型GISを用いた落石調査データの蓄積は,防災カルテ更新の効率化に貢献するだけでなく,落石発生源の位置再現性もあるため今後の維持管理に有効である.