2010 年 66 巻 2 号 p. 368-377
複数のCFRP板を鋼板に接着する際,CFRP板に段差を設けると,接着剤に生じるせん断応力を低減でき,CFRP板が鋼板からはく離するときの荷重,すなわち,はく離荷重が上昇することが知られている.これまでに,一つの段差を有するCFRP板接着鋼板に対して,鋼板の応力を所定の値まで低減させ,はく離荷重を最大にする各CFRP板の必要接着長さと最適剛性を理論的に明らかにした.本研究では,1枚のCFRP板が鋼板の上下面に対称に接着されたCFRP板接着鋼板において,CFRP板の接着長さが長くなると,鋼板中央に生じる応力と,CFRP板の付着端の接着剤に生じる高いせん断応力がそれぞれ一定値に収束する性質を各段に適用することにより,複数の段差を有するCFRP板接着鋼板のはく離荷重を最大にする各CFRP板の必要接着長さと最適剛性を与える.