1999 年 1999 巻 634 号 p. 387-401
本論文は, コンクリートの乾燥によって生じる変形挙動を数値解析する際に必要な拡散係数, フィルム係数および収縮係数を合理的に求めるための新たな手法の提案を行ったものである. コンクリート中の水分量自身に依存する拡散係数は, 水分量のみならず湿度の関数としても求めることが可能である. 本論文で提案する手法では薄くスライスした供試体を用いて湿度分布を求めている. 従って, スライス供試体間の空気層がコンクリート中の水分移動に及ぼす影響についても考察を行い, その影響が極めて小さいことを示し本論文で提案する手法の妥当性を論じた. また, 実験結果を基に逆解析によって拡散係数および収縮係数を求めるための数学的な手法の提案も行った.