2022 年 66 巻 2 号 p. 81-86
パーキンソン病(PD)は運動機能障害を主症状とする進行性の神経変性疾患であり,現在のところ根本治療法は存在しない.家族性PDの原因タンパク質であり,孤発性PDの発症にも重要と考えられているleucine-rich repeat kinase 2(LRRK2)は,GTP結合能とキナーゼ活性をあわせもつユニークなタンパク質である.近年の研究から,LRRK2は低分子量GTPaseであるRabをリン酸化することで,細胞内小胞輸送の制御に関与することが明らかになった.非変性PAGEにおける泳動度をもとに,LRRK2はホモ2量体を形成することが信じられてきたが,私は,非変性PAGEをはじめとする種々の生化学的解析をもとに,LRRK2は主に単量体として存在することを報告した.本稿では,その過程で行われた非変性PAGEを用いた生化学実験について紹介する.