2017 年 61 巻 1 号 p. 39-44
癌の予後や治療抵抗性に関わる因子として癌幹細胞との関連性が知られているが,癌組織中に存在する癌幹細胞はごく少数であり,様々な検討を行うのは難しい.我々は予後や治療感受性に関連する癌幹細胞マーカーの獲得を目的として,微小乳頭肺腺癌細胞株に対し,iPS化の技術を応用して山中4因子を導入することで癌幹細胞様の細胞株(MPPAC-4F)を樹立した.本稿では,このMPPAC-4F細胞の樹立とそのMPPAC-4F細胞株と親株であるMPPAC細胞を用いた免疫染色や両者のタンパク質発現パターンを二次元電気泳動(2-DE)法により比較した結果について紹介する.