日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
免疫抑制療法に抵抗性で胃癌切除後に改善した急速進行性間質性肺炎合併 clinically amyopathic dermatomyositis の一例
野木 真一橋本 篤岩田 香奈子二見 秀一高岡 宏和有沼 良幸島田 浩太中山 久徳松井 利浩小宮 明子古川 宏玉眞 俊平木下 伸森谷 宏光當間 重人
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2012 年 35 巻 3 号 p. 188-193

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抄録

  症例は57歳女性.軽度筋痛(筋力低下なし)と皮疹に続き,労作時呼吸困難が出現し近医を受診したが抗菌薬で改善せず当院を受診し,ヘリオトロープ疹,逆ゴットロン徴候などの皮膚所見,血清CK軽度高値,CRP高値,胸部CTにて間質性肺炎(IP)を認め入院した.経過観察にて筋痛は消失し血清CK値も正常化したが呼吸状態は悪化しCT上IPの進行を認め,急速進行性IPを合併した筋力低下を伴わない皮膚筋炎(clinically amyopathic dermatomyositis, CADM)と診断した.ステロイドパルス療法,シクロスポリン投与に加えシクロホスファミドパルス療法を開始したがその後1ヶ月以上改善を認めなかった.上部消化管内視鏡検査にて早期胃癌(印環細胞癌)を認めたため上記に加え全静脈麻酔下に噴門側胃切除術を施行した.術後約1ヶ月より呼吸状態とCT上IPは改善し,最終的に酸素投与を中止しえた.急速進行性IPを合併したADMに対し上記免疫抑制薬の3剤併用に加え,胃癌に対する胃切除術後にIPと皮疹の改善を認めた一例として報告する.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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