日本臨床免疫学会会誌
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総説
JAK阻害薬の抗リウマチ作用
山岡 邦宏前島 圭佑久保 智史園本 格士朗田中 良哉
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2012 年 35 巻 2 号 p. 112-117

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抄録

  関節リウマチ(RA)は炎症性サイトカインを標的とした生物学的製剤により飛躍的に進歩したが,投与経路,経済的負担などの理由から治療導入または継続が困難なことがある.また,難治症例も存在し,経口投与可能な新たな作用機序を有する抗リウマチ薬の開発が待たれている.最近になり,細胞質内チロシンキナーゼであるJanus kinase(JAK)を阻害標的とした化合物が内服薬でありながら生物学的製剤に匹敵する効果を示すことが明らかとなり,現在複数のJAK阻害薬の治験が進行中である.我々は,既に欧米と本国において承認申請が行われ,近い将来に新規抗リウマチ薬として実臨床で用いられる事が期待されるtofacitinib投与前後の患者末梢血の変化と関節滑膜組織を用いた検討を行い,CD4+ T細胞のサイトカイン産生と増殖を抑制し,更に滑膜細胞の軟骨浸潤を抑制することを明らかにした.この結果は,RA患者においてtofacitinib投与により骨破壊抑制効果が見られたこととも一致しており,今後の長期投与による更なる治療効果が期待される.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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