日本臨床免疫学会会誌
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白血球増加と骨髄巨核球低形成を呈し,間質性肺炎と胸膜炎のために死亡した全身性エリテマトーデスの1剖検例
川本 篤彦椎木 英夫花谷 正和橋本 俊雄土肥 和紘
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1996 年 19 巻 3 号 p. 223-231

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抄録

症例は52歳,女性. 1988年8月に紫斑を主訴に入院した.白血球12,400/μl, 血小板1,000/μlであったが,骨髄巨核球は正常であった.また,抗核抗体と抗DNA抗体も陽性であった.第22病日に白血球が49,300/μlに増加したが,無治療で血液所見は軽快した.退院後,血小板減少が寛解と増悪を繰り返し,骨髄巨核球は低形成を示すようになった.また,多発性関節痛,口腔潰瘍,発熱およびLE細胞陽性が認められるようになった. 1990年1月に胸膜炎と間質性肺炎で入院した. γ-グロブリン大量療法,副腎皮質ステロイドパルス療法が施行されたが,呼吸不全のために死亡した.剖検では,間質性肺炎,胸膜炎,心外膜炎,腎の壊死性血管炎および骨髄巨核球の低形成が認められた.
本例は,血小板減少と白血球増加で発症し,経過中に骨髄巨核球の低形成が認められたSLEの1剖検例であり,稀な症例と考えられる.

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