1989 年 78 巻 5 号 p. 645-649
症例. 44才,男性.鹿児島県出身. 1986年8月より咳嗽. 10月より体幹に浸潤性紅斑出現.血清抗HTLV-I抗体(+)で, CD4 (+), CD8 (-), CD25 (+)の異型リンパ球を認めた. 1987年1月末より,複視,嚥下困難,ふらつきが出現した.脳CTでは造影を含めて正常であった. Gaシンチで脳底部領域と心窩部にhot areaを認めた.髄液検査は,抗HTLV-1抗体(+)で, ATL細胞を認めた.胃内視鏡で臣大な腫瘤を認め,生検にてATL細胞の浸潤を認めた. 3月4日よりMTX, PSLの髄注とVEPA療法を施行したが, 4月2日肺炎を併発し死亡.剖検で神経症状に一致する脳幹部背側にATL細胞の浸潤を認めた, Gaシンチは, CTでは見出せないATL級胞の集積部位の同定に有用と思われる.