1988 年 77 巻 6 号 p. 847-851
自律神経症状を伴う脊髄小脳変性症(OPCA)の1例に, L-threo-3, 4-dihydroxypheny-lserine (DOPS)を投与し,その前後における心血管系自律神経機能検査(Tilt試験,寒冷昇圧試験(CPT), Valsalva試験,下半身陰圧試験(LBNP),長時間Holter心電図解析)の結果を比較検討した. 1) DOPS投与により血圧の上昇(reset)がみられた. 2) Tilt試験で立位後の血圧変動パターンに改善がみられ, 3) LBNPにおける前腕血管抵抗, plasma norepinephrineの良好な反応がみられた. 4) Holter心電図において心拍数変動パターンに改善をみとめた.これらよりDOPSは,起立性低血圧のみならず心血管系自律神経異常を一部改善される可能性がある.