日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
混合性結合組織病(MCTD)患者リンパ球のイソターロイキン2産生能-その診断や病像との関係の検討-
梅原 久範熊谷 俊一石田 博藤田 宗井村 裕夫波内 俊三小中 義照杉之下 俊彦
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 77 巻 5 号 p. 649-655

詳細
抄録

厚生省混合性結合組織病(MCTD)班の診断の手引きを満たすMCTD患者22例のインターロイキン2 (IL-2)産生能を,ヒトIL-2依存性T細胞株を用いて定量的に測定したところ,正常者に比し有意に亢進したIL-2産生を示した.全身性エリテマトーデス(SLE)患者ではその活動性に応じた産生低下を,進行性全身性硬化症(PSS)患者では有意の産生亢進を認めた.抗RNP抗体高値のSLEや分類不能型膠原病患者では正常範囲より高いIL-2産生能を示した例は認めず, IL-2測定がMCTD診断の一助となると思われた.同時に検索したT細胞サブセットでは,正常者に比べCD-4陽性細胞の低下を認めた.この異常はSLEやPSS患者で認める異常とは異なり,これらの膠原病とは違った病因や病態の存在を示唆した.このようにIL-2産生能の検索はMCTDの診断や,病因病態を考える上で重要と考えられる.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top