日本内科学会雑誌
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左頚部の翼突口蓋窩にみられたカテコラミン産生傍神経節腫瘍の1例
小時田 宏仂大平 篤志上村 明藤森 正紀加藤 政孝高橋 明斉木 巌金谷 春之田代 敦
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1988 年 77 巻 4 号 p. 572-576

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抄録

25才,男性.著明な高血圧があるため某病院より紹介され入院した.高血圧の他に全身の発汗をみとめた.尿中・血中ノルアドレナリンが上昇しており,褐色細胞腫の存在が疑われた. 131I-MIBGによる全身シンチグラフィーを施行したが,有意の集積がみられず,胸部・腹部のCTおよびエコーグラフィーによっても異常腫瘤を見出しえなかった.大腿静脈カテーテルによる選択的静脈採血によって得られた血漿中のカテコラミン濃度は,左内頚静脈でノルアドレナリンが最も高濃度であった.さらに頚部CT像と頚動脈撮影で左翼突口蓋窩に鶏卵大の腫瘍を確認した.手術により腫瘍を摘出すると,血圧は正常範囲に下降し,尿中・血中ノルアドレナリンも著明に減少した.組織学的には典型的な傍神経節腫瘍であった.頚部の左翼突口蓋窩にカテコラミン産生傍神経節腫瘍の症例は初めてであり,ここに報告した

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