1987 年 76 巻 3 号 p. 383-390
急性心筋梗塞(AMI)の30例を対象とし,顆粒球エラスターゼ測定の意義を検討した. AMIでの顆粒球エラスターゼ最大値は207.3±70.lμg/lと,正常対照群の106.5±29.1μg/l (n=13)に比べ有意の高値を示し,白血球数最大値,収容時PCWPとの間に有意の正相関を認めた.生存群と早期死亡群との比較では発症後24時間以降,後者で有意の高値が認められ,最大値でも早期死亡群は288.7±75.8μg/l (n=7)と,生存群の188.1±56.9μg/l (n=23)に比べ有意に高値であった.以上のように, AMIでの顆粒球エラスターゼ測定はその予後判定に有用であった.なお,同程度の白血球数を示す感染症群での顆粒球エラスターゼ値は, AMI群でのそれに比べ有意の高値を示した.