日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
抗human leukocyte antigen抗体によると考えられる急性肺水腫の1例
佐藤 康弘舘 治彦高山 重光宮原 康弘青柳 愛孝稲田 美保恵三浦 溥太郎是永 正義金山 正明大平 美香子
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 76 巻 9 号 p. 1424-1428

詳細
抄録

症例. 47才,女性.主訴:呼吸困難,発熱.既往歴:妊娠歴2回.流産・輸血歴(一).現病歴:昭和59年8月20日婦人科入院中に施行した輸血中に呼吸困難,起座呼吸,発熱が出現したため内科転科となった.転科後経過:急速な症状の発現,スリガラス様胸部X線像影,湿性ラ音などより急性肺水腫と診断し,挿管下に呼吸,循環管理,ステロイド投与を行なったところ短時日で症状は軽快した.本患者血清中にはリンパ球細胞毒試験で供血者4人中3人,および夫と次子に対する抗白血球抗体が存在し, B7, BW61, BW48に対する抗体があると判明した.本症例では過去の輸血歴はなく,妊娠に伴い出現した抗HLA抗体により生じた急性肺水腫と考えられた.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top