日本内科学会雑誌
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分娩後第VIII因子抑制物質の出現と原発性胆汁性肝硬変の合併をみた1例
間宮 繁夫仁村 隆新津 秀孝遠藤 安行三浦 亮
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1986 年 75 巻 1 号 p. 40-45

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抄録

分娩後第VIII因子抑制物質の出現と原発性胆汁性肝硬変の合併をみた症例について報告する.症例は, 35才,女性.昭和58年初旬,妊娠中に掻痒感,肝機能障害出現. 3月分娩. 10月中旬から,皮下出血,筋肉内出血出現し, 11月1日入院となつた.検査で,第VIII因子活性8%,抑制物質1.2 Bethesda U,軽度の肝障害,黄疸(総ビリルビン12.3mg/dl),抗ミトコンドリア抗体陽性等の結果が得られた.出血傾向に対し,第VIII因子製剤, prednisolone, azathioprineにて対症し,出血傾向の改善をみた.肝生検および臨床経過から,原発性胆汁性肝硬変の診断がなされた.第VIII因子抑制物質および抗ミトコンドリア抗体は, IgGであつた.

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