1985 年 74 巻 7 号 p. 945-951
Glycogen storage diseaseの17才,男子例につき報告する.幼少時より運動が鈍く,疾走が遅れ勝ちで知能低下があった. 14才時,運動時の呼吸困難があり心肥大を指摘される.その後,心不全症状をきたし治療のため入院した,心胸郭比約70%,心室内伝導障害を示唆する心電図変化があつた. GOT, LDH, CPK,血清および尿クレアチンの増加があり,骨格筋および心筋の生検で双方へのglycogenの沈着を証明した.骨格筋の酵素学的検索では, acidα1-4 g1ycosidase正常, phosphorylase低下, phosphorylase kinase正常で酵素異常の点からglycogen storage disease V型(Mc Ardle病)が考えられるが,従来の報告に比し心症状が余りにも強く,心筋のglycogen代謝,酵素の異常など未知の糖原病の可能性もあり非常に興味ある症例であつた.