日本内科学会雑誌
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多発性単神経炎を伴つたアレルギー性肉芽腫性血管炎の1症例
生検筋組織における血管病変の検索を主として
関根 富佐夫田畑 穣佐藤 秀紀大野 功小林 和夫大瀬戸 美樹浜井 貴人根岸 雅夫井出 宏嗣高橋 昭三
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1985 年 74 巻 5 号 p. 571-576

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抄録

症例は41才,女性. 1981年1月気管支喘息と診断され,同年11月より減感作療法を受けた.岡年12月発熱と前頭部脱毛が出現,白血球増加(51400)と好酸球増加(80%)を指摘され入院となつた.第20病日より,四肢末梢に脱力,知覚鈍麻,筋萎縮,多発性関節痛が出現した.白血球は87000,好酸球は85%, IgE値は2595U/mlまで増加した.血沈1時間値47mm, RA2+, 1gG-RF陽性, ANA陰性, CH5036U/ml,免疫複合体12μg/ml.生検筋結合織内の細動脈の外膜および中膜に好酸球と単核細胞の浸潤,内膜の線維性肥厚による肉腔の閉塞が認められた。外膜に接した血管周囲組織には単核細胞浸潤を伴う高度の好酸球浸潤と組織球性反応と考えられる小結節の形成が認められた.フィブリノイド壊死は認められなかつた.プレドニゾロン60mg/日投与により諸症状および好酸球増加は漸減した.臨床経過および血管炎像に興味のあるアレルギー性肉芽腫性血管炎である.

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