日本内科学会雑誌
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リンパ流にかんする基礎的臨床的研究
植地 モト
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1968 年 57 巻 5 号 p. 521-535

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抄録

血漿蛋白などを含んだ体液は毛細血管壁,組織内を通過してリンパ管に移行するが,組織内を移動するさいの機序については従来ほとんど知られていなかつた.著者はHollanderらのRISAの組織クリアランス法を組織液の動き,およびリンパ流の指標として用いたが,まずこのことについて新たに検討を加え,本法によりリンパ流をうかゞいうることを確かめた.また,結合織の変化する種種の疾患に本法を用い,その結果より,結合織内の細胞,線維等は蛋白の組織内通過に関係なく,基質のムコ多糖体が関係することを明らかにした.さらに高分子物質の種類を変えた場合のクリアランスを検討し,高分子物質の組織内通過にたいしては,その分子量,形,荷電が関係することを支持する結果を得た.ついで従来提出されていなかつた高分子物質の組織クリアランス曲線の分析を試み, Fickの法則よりFourier数を導き出し,これが以上の成績をよく満足させることを確かめた.

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