分析化学
Print ISSN : 0525-1931
年間特集「生」:報文
イムノピラーデバイスの高性能化:抗体固定化担体の改良
西脇 奈菜子笠間 敏博石田 晃彦谷 博文馬場 嘉信渡慶次 学
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2015 年 64 巻 5 号 p. 329-335

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抄録

著者らはこれまでに,光硬化性樹脂と抗体を固定化したビーズを組み合わせた,イムノアッセイによる疾病マーカー検出のためのイムノピラーデバイスと呼ばれるマイクロデバイスの開発を行ってきた.しかし,臨床診断に応用するためには,さらなる性能の向上が求められていた.そこで,イムノピラーデバイスの高性能化を目指し,抗体固定化担体の改良に取り組んだ.従来のイムノピラーデバイスはポリスチレンビーズに抗体を物理吸着により固定化してきた.本研究では,化学結合によりビーズ表面に抗体を固定化することのできるアフィニティビーズを用いたイムノピラーデバイスを作製し,C反応性タンパク質(CRP)の検出を試みた.インキュベーション時間とピラーの直径の検討を行った結果,全測定時間23分で,検出限界0.1 ng mL-1のCRPを測定することが可能となり,従来のデバイスよりも感度が100倍高いことが明らかとなった.本イムノピラーデバイスの長期保存安定性の評価を行ったところ,9か月以上保存可能であることが分かった.以上により,従来よりも優れた感度を有する,高性能なイムノアッセイ用マイクロデバイスを開発することができた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2015
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