分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
導電率検出増大型カラムを用いる海水及び河川水中のケイ酸イオンのイオン排除型イオンクロマトグラフィー
森 勝伸田中 一彦垰田 博史池戸 みかる古月 文志
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2004 年 53 巻 12 号 p. 1481-1486

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抄録

イオン交換樹脂カラムと水溶離液を用いる導電率検出イオン排除型イオンクロマトグラフィー(IC)による高精度なケイ酸イオンの分離計測法が開発された.本法では,導電率検出のイオン排除分離において,ケイ酸イオンと溶存する炭酸水素イオンが同じ保持容量であったことから,酸性条件下において窒素封入 し,炭酸水素イオンを除去した試料を用いた.水素型弱酸性陽イオン交換樹脂カラムに導入されたケイ酸イオンは,イオン排除作用によってケイ酸として分離された後,2本のイオン交換樹脂カラム(カリウム型強酸性陽イオン交換樹脂及び水酸化物型強塩基性陰イオン交換樹脂)によるイオン交換作用によって,高い極限当量イオン導電率を有する強塩基の水酸化カリウムに変換され,劇的な検出応答の増大が認められた.これにより,良好な検量線の直線性(0.05~50 ppm)と検出限界(S/N=3: 0.02 ppm H3SiO4)が得られた.本法は,環境水中のケイ酸イオンのモニタリングに応用され,10倍及び20倍に希釈された河川水及び海水中のケイ酸イオンの分離定量に適用することができた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2004
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