大学体育学
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事例報告
週1回の大学スポーツ実技が下肢の筋力・筋パワー維持に及ぼす影響
一川 大輔安田 智洋
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 13 巻 p. 35-42

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抄録

本研究の目的は,15週にわたる大学体育授業の中でスポーツ活動を行った場合,その授業前後で大学生の下肢体力テスト結果を比較することであった。健康な男子大学生80名がこの研究に参加した。学生らは,大学体育授業のうち10週間,ソフトボール・フットサル・バスケットボールの何れかを選択し週1回実践した。測定は2・3回目(pre)と14・15回目(post)の授業時に実施した。測定項目は,身長・体重・体格指数(body mass index: BMI)・収縮期血圧・拡張期血圧・安静時脈拍,大腿部筋厚(前面・後面)・下腿部筋厚(後面)・筋力余裕度・膝関節伸展筋力・立幅跳・30秒椅子立ち上がりテスト(30-s chair stand test: CS-30)・閉眼片足立ち時間・握力であった。体重, BMI, 収縮期血圧,拡張期血圧はpreからpostで有意な低下(p < 0.05)を示した(体重: 62.8 ± 8.2 kg vs. 61.8 ± 7.4 kg, BMI: 21.5 ± 2.6 kg/m2 vs. 20.9 ± 3.3 kg/m2, 収縮期血圧: 118.6 ± 10.2 mmHg vs. 112.3 ± 10.3 mmHg, 拡張期血圧: 71.0 ± 9.1 mmHg vs. 65.8 ± 9.2 mmHg)。筋厚はpreからpostで大腿部後面と下腿部後面には有意な変化を認めた(p < 0.05)が,大腿部前面には有意差を認めなかった。筋力余裕度・立幅跳,CS-30はpreからpostで有意な増加(p < 0.05) を示した(筋力余裕度: 197.7 ± 17.8% vs. 202.4 ± 20.1%, 立幅跳: 211.4 ± 0.2 cm vs. 221.5 ± 0.2 cm, CS-30: 36.9 ± 4.0 回 vs. 39.2 ± 4.3 回)。膝関節伸展筋力は,preからpostで有意な変化(p > 0.05) を認めなかった(41.6 ± 9.2 kg vs. 43.3 ± 9.5 kg)。閉眼片足立ち時間はpreからpostで有意な増加(p < 0.05) を示した(60.4 ± 37.1 秒 vs. 77.0 ± 40.4 秒)。我々の研究の結果,大学体育授業における毎週の定期的なスポーツ活動が,大学生の下肢筋力・筋パワーに影響を及ぼすことが示唆された。

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© 2016 全国大学体育連合
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