ケイ酸のいもち病抵抗性機作を解明するために,水溶性ケイ酸の葉いもち発病抑制におよぼす影響について検討した.1)蒸散抑制処理を行うと下位葉の第3葉では,水溶性ケイ酸含有率は無処理区で240mg kg^<-1>に対し,抑制区で318mg kg^<-1>と無処理区の1.3倍に増加し,いもち病斑数は無処理区の約3分の1に減少した.2)ケイ酸濃度の異なる溢泌液を塗布した素寒天培地に,いもち病菌を移植した場合,いもち病菌の菌糸伸長距離は,溢泌液ケイ酸濃度が388mg L^<-1>の場合,99mg L^<-1>区の半分に抑制された.3)318mg L^<-1>の水溶性ケイ酸を添加した素寒天培地上での移植15日後の菌糸伸長距離は12.7mmで,ケイ酸無添加(KおよびCl添加)区の62.3%に,ケイ酸240mg L^<-1>区の66.1%に抑制された.また,ケイ酸318mg L^<-1>添加区ではケイ素が菌糸内に吸収されていた.4)以上の結果より318mg L^<-1>の水溶性ケイ酸は,いもち病菌の菌糸生育を抑制すると考えられた.本報告は,318mg L^<-1>程度の高濃度水溶性ケイ酸がいもち病菌の菌糸生育を抑制することを示した初めての報告である.