2017 年 65 巻 12 号 p. 640-643
自然界には,大きく分けて二種類の発色方法がある。染料や顔料を用いた発色と,光の波長サイズの微細構造を利用した発色である。人類は,多くの染料や顔料を自然界から集め,それを人工的に作る方法を身につけてきた。そのおかげで,現在の我々の生活は様々な色にあふれた豊かな環境にある。しかし,21世紀になってからは,人間や環境に対して,より負荷の低い安全な素材を用いた,高耐久性,高機能性を有する色材が求められるようになり,微細構造を利用した発色材料,つまり,構造発色性材料が注目されている。本稿では,自然にある構造発色性材料を取り上げ,これまでにあまり理解されていなかった構造発色性について説明する。