日本看護管理学会誌
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原著
転倒アセスメントスコアシートの改訂と看護師の評定者間一致性の検討
森田 恵美子飯島 佐知子平井 さよ子賀沢 弥貴安西 由美子
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2010 年 14 巻 1 号 p. 51-58

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抄録

本研究の目的は,転倒アセスメントスコアシートの改訂と看護師評定者間の信頼性を明らかにすることである.入院患者の転倒アセスメントスコアシート(「改訂前シート」)の9分類30項目を多重ロジスティック回帰分析に基づき検討し,オッズ比を基に重み付けをして,アセスメント項目数を7分類19項目に削減した(「改訂後シート」).転倒予測は,「改訂前シート」で感度72.7%,特異度74.9%,ROC曲線下面積(areaundertheROCcurve:AUC)0.812であり,「改訂後シート」で感度74.5%,特異度79.6%,AUC 0.822であった.次に経験年数の異なる2名の看護師[看護師主任,平均経験年数20.0±6.2年;看護師スタッフ,平均経験年数7.5±7.4年,p<0.001]が,患者にそれぞれ別々に「改訂後シート」による転倒アセスメントを実施し,評定者間の信頼性を検討した.両者の間に転倒アセスメントスコア合計点の平均値に有意差は認めず(p=0.645),級内相関係数は0.97であり,看護師評定者一致性のカッパ係数(κ係数)は0.61以下が2.0%,0.61~0.80が22.4%で,0.81~1.00が75.5%であった.「改訂後シート」は「改訂前シート」よりも項目数が少ないが予測精度が高く,経験年数に差がある看護師が用いても,転倒予測に対する入院時の看護師評定者間一致性は高く,各看護師が経験によらず信頼性の高い転倒予測をしていることが明らかになった.

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© 2010 一般社団法人 日本看護管理学会
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