福祉のまちづくり研究
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神奈川県における高齢者・障害者のSTサービスの評価
秋山 哲男藤井 直人鷲野 浩介
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ジャーナル オープンアクセス

1999 年 1 巻 2 号 p. 10-17

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抄録

神奈川県における高齢者・障害者専用のTSサービスのうちドア・ツー・ドアサービスハンディキャブと呼ばれるの100団体の運行団体とその利用者を調査対象とした。研究の目的の第一は、ハンディキャブの運行実態及び利用者特性の把握を行い、第二に、利用者によるハンディキャブの「サービスの質」の評価を行った。第三に、ハンディキャブの問題点の整理及び改善策の考察を行い、改善策の1つであるハンディキャブから他の交通手段への転換に関して検討した。調査方法は1997年12月に行った、神奈川県のハンディキャブ運行団体及び利用者を対象とした2つのアンケート調査から構成されている。以上から次の結果が得られた。1)STサービスの利用者の特性を整理した。2)サービスの質の評価は、利用者の観点からサービスの質、つまり利用者にとっての重要度と満足度により、定時制、予約の利便性、運行条件、車両の乗降と介助、安全性の項目の評価をSD法により行った。神奈川県、東京都とも「予約の利便性」が重要度が高いにも拘わらず満足度が低いことが分かった。また神奈川県と東京都は類似した結果が得られた。3)問題点に対する改善策として、(1)ハンディキャブの供給量の増加、(2)運行システムの効率化、(3)他の手段への転換、の3つが重要性が高い対策であると確認できた。さらにSTサービス利用者のノンステップバスの利用意向は、バスへの転換の可能性が高い層がある程度存在することが確認できた。

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