気管支学
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症例
気道狭窄を伴うALK陽性肺癌に緊急ステント留置術およびアレクチニブが奏効した1例
南 大輔佐藤 賢安東 千裕中須 賀崇匡岩本 佳隆頼 冠名藤原 慶一柴山 卓夫宮原 信明米井 敏郎木浦 勝行佐藤 利雄
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2017 年 39 巻 4 号 p. 322-327

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抄録

背景.気道狭窄におけるステント留置は,呼吸困難を緩和する治療法として近年広く普及している.また,アレクチニブはanaplastic lymphoma kinase(ALK)陽性肺癌における有望な分子標的治療薬と考えられている.今回我々は,シリコンステント留置術による気道確保を行った後にアレクチニブによる加療が奏効し,ステント抜去が可能となった1例を経験した.症例.45歳,男性.1週間前より労作時の呼吸困難を自覚していた.意識消失発作で前医に救急搬送され,心タンポナーデに対して心囊ドレナージ術が施行された.画像から肺癌,縦隔リンパ節転移に伴う気道狭窄症および癌性心膜炎が強く疑われたため,当院紹介となった.左右主気管支に対してバルーン拡張術を行い,気管分岐部にシリコン製のDumon Y-stent留置(気管部,右脚,左脚:外径16×13×13 mm,長径27×15×25 mm)を行った.超音波気管支鏡ガイド下針生検検体からALK遺伝子陽性肺腺癌の診断が得られたことより,アレクチニブによる加療を開始し奏効した.気道狭窄は改善し,治療5カ月後にステント抜去が可能となった.結論.気道狭窄に対して回収可能なシリコンステント留置術は有用であり,忍容性の高いアレクチニブによる治療が奏効した.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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