2017 年 39 巻 1 号 p. 53-57
背景.EBUS-TBNA施行後の脳梗塞に対し,遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン活性化因子(rt-PA)による血栓溶解療法を施行した症例を経験した.症例.77歳男性.左肺癌に対し左肺上葉切除後1年で,呼吸困難を主訴に入院となった.胸部CT上心囊水の貯留,#7リンパ節の腫大を認めた.悪性心囊水は認めなかった.#7リンパ節に対しEBUS-TBNAを施行し,炎症による反応性リンパ節腫大と診断した.EBUS施行後,病棟での経過観察中(EBUS施行後8時間)に左片麻痺が出現し,脳梗塞が疑われた.脳MRIを施行し,急性期脳梗塞に矛盾しない所見を認め,ICU管理のもとで経静脈的にrt-PA投与を行った.rt-PA療法に伴う気道出血などの合併症は認めなかった.左片麻痺は徐々に改善し,EBUS施行後第21病日にリハビリ目的に転院となった.考察.生検後脳梗塞発症症例に対してのrt-PA療法は慎重投与の適応とされる.EBUS-TBNA施行後にrt-PA療法を行った報告はこれまでなく,文献的考察も含めて報告する.