気管支学
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症例
急速に増大する巨大気腫性肺囊胞に対して囊胞内吸引後にEWSとフィブリン糊注入で軽快した1例
鳥羽 博明監崎 孝一郎滝沢 宏光先山 正二近藤 和也丹黒 章
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2016 年 38 巻 4 号 p. 324-327

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抄録

背景.急速に増大する巨大気腫性肺囊胞に対して,囊胞内吸引療法後にEWSと囊胞内のフィブリン糊注入により軽快した1例を報告する.症例.70歳代男性.塵肺症にて在宅酸素療法導入中.右気胸にて計3回の加療歴あり.主訴は進行性の安静時呼吸困難.入院時PS:4,mMRC:グレード4.左肺癌と癌性胸膜炎を合併.CTにて進行する右巨大気腫性肺囊胞を認め,それによって残存肺が圧排されていた.CTガイド下囊胞内吸引療法を施行.それにより残存肺の膨張が得られた.囊胞よりの気漏が持続したため,EWS留置後,ドレーンよりフィブリン糊の囊胞内注入を行ったところ,気漏は停止し,ドレーンを抜去できた.CTでは巨大気腫性肺囊胞は著明に縮小し,自覚症状は改善した.退院時PS:3,mMRC:グレード3.結論.本症例のようなハイリスクで対側の癌性胸膜炎を有する症例に対して,手術を施行せずに,囊胞内吸引療法後にEWSとフィブリン糊囊胞内注入により手術を回避し,内科的治療にて治癒せしめることができた.

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© 2016 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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