2001 年 26 巻 1 号 p. 93-95
シクロヘキシミドに代表されるグルタルイミド系抗生物質は, 一般に強い抗真菌活性を示す他, 抗腫瘍, 抗原虫活性などを有するが, 反面選択性も低いことから, 新規な類縁体が求められている. アクチケタールは新規なベンゾフラン型グルタルイミド系抗生物質として Streptomyces pulveraceus subsp.epiderstagenes から単離された. 今回, その全合成に成功したので報告する. 5,7-ジメチルベンゾ [b] フランとグルタコン酸ジメチルをPd (II) を用いて酸化的にカップリングして炭素骨格を形成した. ジカルボン酸部分をイミドへと変換し, フラン部分の二重結合を選択的にオスミウム酸化することで, 目的とするアクチケタールの合成を達成した. 全収率は6工程で11.4%であった.