1997 年 22 巻 4 号 p. 321-325
土壌中の Fusarium spp. の免疫学的検出法を新たに確立した. ニトロセルロースメンブレン上に厚さ約1mmの寒天ゲルを重ね, その寒天表面に土壌試料懸濁液を塗布する. およそ10~20時間のインキュベーションの間に, 土壌サンプルに含まれる糸状菌は土壌粒子と分離される. そのメカニズムは, 糸状菌は菌糸を伸長し, 寒天ゲル層を貫通してメンブレンに達するが, 一方で土壌粒子は寒天表面に残存することによる. こうして糸状菌がプロットされたメンブレンを, Fusarium 属菌に対して特異的に反応するモノクローナル抗体API9-2, 二次抗体, 基質の順で免疫学的に発色させることで, プロットされた糸状菌のうち, Fusarium spp. のみを検出できた. この方法を gel penetrate-blotted immunobinding assay (GP-IBA) と呼ぶこととした. 本法によれば, 24時間以内に Fusarium 汚染土壌を識別することが可能であり, また, その検出可能な最小密度は103個分生子/g土壌であり, 実際の最小発病単位と近似するため, 本方法が Fusarium spp. の検出に適していると考えられた.