1985 年 10 巻 4 号 p. 721-726
コワモンゴキブリ (Periplaneta australasiae) の性フェロモンの性質を知るために, このゴキブリの雌より高度に精製された性フェロモン (G-7) を得た. このG-7とワモンゴキブリ (P. americana) の性フェロモンであるペリプラノン-A (PA) およびペリプラノン-B (PB) をおもに用いて, この2種類のゴキブリの雄に対する行動と触角電図 (EAG) の交叉試験を行なった. その結果, コワモンの雄はG-7とPAには性行動を示したが, PBには示さず, 最近報告された他のグループによる交叉試験の結果を支持した. 一方, ワモンの雄は, PA, PBと同様にG-7に性行動を示したが, G-7に対する行動はPAに対するそれよりも弱かった. EAGにおいてもコワモンの雄は, G-7とPAに強く反応し, PBへの反応は弱かった. ワモンの雄は, G-7, PA, PBのすべてに強いEAG応答を示した. ワモンのEAG反応の波形はG-7とPAにおいて類似し, PBの波形とは異なった. この両交叉試験の結果より, コワモンの性フェロモンは, PAと類似の物質であることが強く示唆された.