産業衛生学雑誌
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死腔気が尿素呼気試験(UBT:^<13>C Urea Breath test)によるHelicobacter pylori感染の診断に与える影響
菊地 央市瀬 裕一石井 均森 正明山口 薫猪狩 和之
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1999 年 41 巻 6 号 p. 183-189

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抄録

尿素呼気試験(UBT:Urea Breath test)は,非侵襲的な検査であり,Helicobacter pylori感染の診断や除菌効果の判定に有用とされている.しかし,アルミバッグに採取した呼気を検体とする従来の方法では,解剖学的死腔(anatomical dead space, Fowler死腔)の存在が診断精度を低下させる可能性がある.そこで我々は,ボランティア135例(男性127例,女性8例)を対象にアルミバッグ法と連続法の2法のUBTを行い,血清抗体価測定検査と胃X線検査の結果による判定を対照にして,解剖学的死腔がUBTによるH.pylori感染の診断精度に与える影響について検討した.その結果,肺胞気を同定して測定する連続法の診断精度は,解剖学的死腔を含む呼気を測定する従来のアルミバッグ法を上回った.従って,UBTでH.pylori感染を診断する場合には,呼気終末ガスを選択的に採取して測定を行うか,特別な配慮を要さない連続法を採用することが望ましいと考えられた.

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© 1999 公益社団法人 日本産業衛生学会
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