デザイン研究への参加を通して, 自らの実践を振り返り, 資質向上に成功した教師の事例分析から, 新しい授業研究としてのデザイン研究が教師の成長を促す要因を検討した.デザイン研究に参加した教師1名を対象とし, 会議中の発言や授業報告書, 事後インタビューを分析した.その結果, 教科教育研究者や学習研究者との協同的な授業デザイン活動を通して, 対象教師は, 自己の実践を学びに関する観点から再検討し, デザイン・実践・評価するようになったことがわかった.このような資質向上は, (1)デザイン研究における対象教師の役割の変容や, (2)デザイン研究に参加する中で生じたこれまでの授業に対する問題意識, (3)他分野の専門家がお互いの専門性を理解し, 自らを高めいくというデザイン研究特有のパートナーシップによってもたらされたと考えられた.