アレルギー
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原著
遺伝性血管性浮腫の急性発作を生じた日本人患者を対象としたイカチバントの有効性,薬物動態及び安全性評価のための第III相非盲検試験
秀 道広福永 淳前原 潤一江藤 和範James HaoMoshe Vardi野本 優二
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2018 年 67 巻 2 号 p. 139-147

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抄録

【背景】遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema,HAE)は,皮膚,消化管粘膜及び上気道に発作性に浮腫を生じる遺伝性疾患である.

【目的】HAEタイプI又はタイプIIの日本人患者の急性発作に対する治療薬として,選択的ブラジキニンB2受容体拮抗薬のイカチバントを評価する第III相単群非盲検試験を行った.

【方法】急性発作後,患者又は医療従事者がイカチバント30mgを腹部に単回皮下投与した.【結果】皮膚,腹部,又は喉頭に発作を生じた計8名(それぞれ4名,3名,1名)にイカチバントを投与した(うち自己投与は3名).症状緩和までの時間の中央値は1.75時間(95%信頼区間:1.00,2.50)で,全患者で投与後5時間以内に症状が緩和した.イカチバントの最高血漿中濃度到達時間は1.79時間と推定され,最高血漿中濃度は405ng/mLであった.7名に注射部位反応が認められ,3名に有害事象(HAE発作2名,頭痛1名)が認められた.

【結語】患者数は少ないものの,日本人HAE患者の急性発作に対し,イカチバントは自己投与または医療従事者による投与に関わらずその有効性と忍容性が示された.

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© 2018 日本アレルギー学会
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