1997 年 43 巻 3 号 p. 231-236
表面播種におけるイネ科牧草立ち上がり型種子の発芽特性を明らかにする目的で,トールフェスタ(品種ケンタッキー31)とイタリアンライグラス(品種サクラワセ)を25℃定温条件のろ紙上で発芽させ,草種別に立ち上がり型と根上がり型種子間の根鞘毛の発生開始時間,発根時間および発根時におけるの根鞘形態,根鞘毛の数と長さを比較した。両草種とも,立ち上がり型種子は根上がり型種子に比べて,根鞘が厚く,長い多数の根鞘毛が早期に発生し,逆に発根は遅く,根鞘毛が固着できる時間が長く確保されていた。また,立ち上がり型種子の割合が高いトールフェスタはイタリアンライグラスに比べて発根が遅く,根鞘毛の固着が長時間持続した。これらの結果から,草種内・草種間ともに立ち上がり型種子の堅固な固着は,根鞘毛の数・長さに加えてその固着時間の長さに依拠することが示された。