ぬいぐるみロボットの呼吸が生きている状態と内部状態に与える効果の検討

吉田 直人
米澤 朋子

誌名
電子情報通信学会論文誌 D      No.2    pp.263-274
発行日: 2018/02/01
早期公開日: 2017/11/06
Online ISSN: 1881-0225
DOI: 10.14923/transinfj.2017HAP0010
論文種別: 特集論文 (ヒューマンコミュニケーション〜伸縮自在のコミュニケーション〜論文特集)
専門分野: ヒューマンコミュニケーション基礎
キーワード: 
ぬいぐるみロボット,  生理現象,  呼吸,  生命感,  内部状態,  

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あらまし: 
本研究では,生命維持にかかわる生理現象の中でも呼吸に着目し,ロボットの呼吸表現によるロボットの生死の状態と,生死の状態に基づくロボットの内部状態表現を実現することを狙う.腹部運動と吐息が一体となった呼吸を行うぬいぐるみロボットを構築し,その呼吸速度を段階的に変化させることによって,(1)ロボットを生物のように感じるか,(2)生きている中でも異なる状態が表現でき,対照的に死んでいる状態を感じ取れるか,(3)生きている中でも異なる状態に関わるどのような因子に影響を与え,呼吸速度がロボットのどのような内部状態を表現するパラメータとなるか検討する.1分間におけるロボットの呼吸回数を呼吸速度とし,呼吸をしない状態(0回/分)から,非常に速い状態(約24回/分)までを比較した結果,ロボットの呼吸がユーザに「生物として生きている」状態としての感覚を与え,呼吸が非常に速い状態が「生きているが死にそう」な状態を表す可能性が示された.次に,ロボットの呼吸速度に関して,生理・知覚・人格など感情指標以外の形容詞も含めてSD法を実施し,因子分析による評価を行った結果,ロボットの呼吸速度が,ロボットの生死の状態に基づく活発性にかかわる内部状態を示す可能性が示された.