2020 年 30 巻 1 号 p. 19-24
標的遺伝子の発現を特異的に抑制するRNA干渉(RNA interference;RNAi)医薬品は、patisiran(Onpattro®)が2018年に世界で初めて販売されたことを契機に、これまで以上に高い注目を集めている。筆者らは臨床での実用性を考慮したRNAi医薬品の開発を試み、すでに量産が可能な工業化技術を確立し、体腔(胸腔および腹腔)内直接投与により悪性胸膜中皮腫や承認薬のない胃がん、卵巣がん、膵臓がんの腹膜播種転移の治療剤としての有用性を前臨床レベルで確認した。本稿では、すでに本格開発段階に移行している体腔内投与型RNAi製剤(開発コード:DFP-10825)について、これまでの開発経緯を紹介する。