主催: 日本毒性学会
会議名: 第51回日本毒性学会学術年会
開催日: 2024/07/03 - 2024/07/05
【目的】
毒物又は劇物は、原則として動物を用いた急性毒性試験におけるLD50・LC50値から判定されており、投与方法には経口、経皮及び吸入が想定されている。一方、近年はin vitro試験等に基づく、毒性や刺激性等から判断する評価法も希求されている。そこで、本研究ではラットを用いた被験物質の経気管肺内噴霧投与法(Trans-tracheal intrapulmonary spraying;TIPS法)を行う際のin vitro投与量設定法として、細胞毒性評価法として使用されているマウス線維芽細胞 3T3を用いたNeutral Red Uptake Cytotoxicity Assay(OECD GD 129)を一部改変し、ヒト肺腺癌細胞株A549を用いた改変Neutral Red Uptake assay (A549 NRU assay)を構築し、試験プロトコールの最適化とその有用性について検討を行った。
【方法】
30種類の被験物質について、それぞれA549 NRU assayを実施し、IC50を算出した。さらに6物質(Acetylacetone、1,2-Dichloroethane、N,N-Dimethylacetamide、N-Dimethylformamide、Glycidol及びPolyacrylic Acid 5000)については、TIPS法で得られたLD50と比較し、A549 NRU assayで得られたIC50値との相関を検討した。
【結果と考察】
A549 NRU assayを用いて30物質の本試験におけるIC50を算出し、良好な再現性も確認できた。うち6物質ではTIPS法でのLD50値と高い相関が得られた。以上より、TIPS法のin vitro投与量設定試験としてA549 NRU assayを構築することができた。