日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-206
会議情報

ポスター
メラニンを介したモリブデン貯蔵機構
*橋本 和宜田崎 啓大神 信孝加藤 昌志
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【背景】モリブデンは、金属イオン補因子として知られている。特に、Xanthine oxidoreductaseなどの酸化還元酵素の補因子として生体内の酸化還元反応に関与している。一方で、過剰摂取により肝及び神経毒性を示すことから、緻密な代謝制御が必要である。しかし、生体内におけるモリブデン代謝機構、特に貯蔵は明らかではない。本研究では、メラニンによるモリブデンの吸着貯蔵能をin vivo及びin vitroにて明らかにすることを目的とした。

【方法】野生型及びメラニン高蓄積ヘアレスマウスを用い、皮膚におけるメラニン蓄積を色彩色差計にて評価した。皮膚中モリブデン量はICP-MSにて分析し、メラニンとの相関性を検討した。メラニンとモリブデンの直接的な結合については、無細胞系in vitro吸着試験にて検討した。吸着等温式にて最大吸着能を解析した。

【結果】皮膚におけるメラニン蓄積量とモリブデン量に正の相関を認めた。in vitro試験より、メラニンとモリブデンの結合がLangmuir型吸着に適合することが明らかとなった。Langmuir吸着等温式より、理論的な最大吸着量は131 µg/mgであった。

【考察】本研究において、in vivo及びin vitroによる検討から、メラニンがモリブデンと直接結合することが明らかとなった。また、生体内においてメラニンにより貯蔵制御されている可能性が明らかとなった。モリブデンとメラニン間結合の生物学的意義は、未だ十分に明らかではないため、今後の更なる検討が必要である。

【結論】メラニンがモリブデンの貯蔵制御に関与している可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2020 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top