日本地理学会発表要旨集
2011年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P1423
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国土の数値情報に基づく福岡平野における豪雨時の土地被覆状況評価
*黒木 貴一宗 建郎磯 望後藤 健介黒田 圭介
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抄録

福岡平野の二級河川では近年豪雨に伴う多くの氾濫被害が生じた。その背景には,都市域ではアスファルトやコンクリート舗装が多く,地下に雨水が浸透しにくく,比較的短時間に雨水が河川に流入することが考えられる。地域防災を念頭に置くと雨水の流出(浸透)の程度を示す土地被覆状況の適切な量的評価と分布表示に関する検討を行う必要がある。本研究では,フリーでダウンロード可能な国土の数値情報から土地利用と標高データなどを利用し,福岡平野における近年の氾濫を説明できる土地被覆状況に関し,適切な量的評価と分布表示方法を検討した。結果は以下の通りである。
1)土地利用区分に流出係数を対応付けたメッシュ単位の表示は氾濫に脆弱な地域の抽出に利用できる。2)数値標高モデル10mメッシュ(標高) で求めた適切な集水規模による流域単位に対する流出係数の評価は,氾濫の地形条件や土地被覆状況の背景説明に利用できる。ただ10mメッシュ(標高) は,個々の氾濫域に対する流域単位の精度がレーザーによる5mメッシュに比べ十分ではない。3)地形図による土地利用図は土地利用細分メッシュの量的評価に比べ,公園等の広場や道路網に対応する流出係数の都市内部の詳細分布を示せる。ただ広場の緑地とアスファルト等舗装域の判別がなく問題が残る。4)地域単位間の土地被覆状況に関する量的評価の差分から,氾濫危険性の認識差を持つ可能性のある地域を抽出できる。ただ抽出精度の向上には適切な地域単位の設定の課題が残る。

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