日本地理学会発表要旨集
2007年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P826
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唐津市相知町田頭地区の2006年9月16日土砂・洪水災害
*磯 望黒木 貴一黒田 圭介後藤 健介辻 真弓
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抄録


 北西部九州の佐賀県伊万里市から唐津市にかけての一部では,2006年9月16日朝に1時間最大雨量90mm以上,継続時間は4~5時間程度の集中的な豪雨に見舞われた。この豪雨の原因は,台風13号に伴う強い雨雲である。この豪雨で,背振山地南麓を中心に東西約30km,南北約10kmの範囲で集中的に崩壊や地すべりが生じ,土石流や土砂流が発生した。ここでは唐津市相知町田頭地区の被害発生状況と衛星画像解析手法を応用した空中写真の土地被覆区分による被災地域の解析等を中心に,報告する。
 唐津市相知町田頭地区は,松浦川支流厳木川の沿岸にあり,主として厳木川支流の田頭川などの合流扇状地に立地した集落である。田頭川では,中・上流域で土石流および土砂流が発生し,橋などが流失した。押し出された堆積物や流木等は,扇状地の下方で堆積し,これより下流は主として洪水氾濫を生じた。下流部では扇状地面を流下した土砂流が,橋上を通過して道路の下流側に氾濫域を広げる現象も認められた。田頭川中流の扇央部では,農地や道路に土石流や土砂流の被害が広がったものの,住家の被害は生じなかったが,扇端部では,土砂流形式の洪水域が扇状に広がり,床下浸水程度の被害が広がった。
 田頭川西側の山地では崩壊が発生し,小規模な渓流で土石流が生じた。この土石流により4棟が全半壊した。田頭地区から北側の白木木場付近までは数十箇所で崩壊が発生したが,豪雨の継続時間が短かったため,崩壊土砂が水に飽和する時間的余裕がなく,土石流の発生が数は少なかった。衛星データの土地被覆分類に用いられる最尤法による教師付き分類の手法で災害地域を区分できる。作業結果についてはポスターで示す予定である。           

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