近年、イネなどの植物の産地同定の手段として87Sr/86Sr同位体比が用いられるようになり、さらに、遺跡から出土された人骨の87Sr/86Sr同位体比を測定して、その遺跡に埋葬されている人の出身地を推定することも行われつつある。地質の87Sr/86Sr同位体比は、そこで生育している植物の、最終的には動物の骨中に反映されると考えられ、87Sr/86Sr同位体比の地球化学図は、生育場の同定などを行う際の基礎データとして重要である。我々は、河川堆積物を主として用い、全国の87Sr/86Sr同位体比の地球化学図を作成することを目的としている。昨年の年会では、九州北部・西部地域の87Sr/86Sr同位体比の分布を報告した(後藤ほか、2008)。本講演では、九州の南部・東部を含めた九州全域、ならびに四国地域の87Sr/86Sr同位体比分布を報告する。