日本地球化学会年会要旨集
2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
セッションID: 1P38 06-P06
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水圏環境地球化学
アミノ酸重合反応における解離状態の効果
*坂田 霞北台 紀夫中嶋 悟
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抄録

生命起源においてアミノ酸重合反応は重要なプロセスである.アミノ酸の重合速度にはpHが影響することが知られているが,定量的な解析はされていない.そこで本研究では,グリシン(Gly)を用いて速度論的パラメーターを求めた.NaOH,HClでpHを4から12に調整したGly水溶液の加熱実験を行い,液体クロマトグラフィーで生成物を分析した.反応経路はGlyからGlyGlyが生成し,さらにDKPが生成すると推定し,反応速度定数を求めた.重合速度はpHに大きく依存し,pH 9から10で極大値を示した.Glyの各解離状態での重合速度を求めると,両性イオンと陰イオンの重合が最も速いことが分かった.よって,両性イオンと陰イオンが約半数ずつ存在する状態(pH 9.8)で,全体の重合速度が最も速くなると推測される.解離状態による反応性の違いは,アミノ基の求核性,分子間及び分子内の電気的相互作用に起因すると考えられる.

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© 2009 日本地球化学会
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