日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物光受容体フィトクロムのNMRを用いた構造ドメイン解析
*小林 俊達西ヶ谷 有輝三島 正規田畑 亮赤木 香予酒井 伸也加藤 悦子高野 誠山崎 俊正児嶋 長次郎
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p. 393

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抄録
赤・近赤外光受容体であるフィトクロムは、約1200残基の巨大分子である。フィトクロム内の約650残基からなるN末端ドメインは光のセンシング及びシグナル伝達に関与し、約550残基からなるC末端ドメインはフィトクロムの二量体化及び核移行に関与する。このようにフィトクロムは一つの分子内で多様な機能を有する事から、我々はフィトクロムの機能・分子メカニズムをより詳細に調べる事を目的として、個々のドメインの構造・機能解析を行ってきた。
これまでの溶液NMR法を用いた研究から、フィトクロムC末端ドメインに存在するPAS1ドメインの構造が明らかとなった。得られた構造から、機能欠損型ミスセンス変異の集中する領域(Quail-box)がPAS1ドメインのβ-シートに存在し、β-シート表面上にフィトクロムに共通して保存された残基がクラスターを形成する事が明らかとなった。またこのβ-シート表面を介して二量体を形成する事が示唆された。さらに、フィトクロムB, C (phyB, C)においてPAS1を含む領域が二量体を形成するのに対してphyAのPAS1ドメインは二量体を形成しない事から、このPAS1ドメインがタイプI及びタイプIIフィトクロムの機能の違いに関与していると考えられる。会場ではPAS1ドメインに加えてN末端・C末端ドメイン中の他の構造ドメインの解析結果についても報告したい。
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© 2006 日本植物生理学会
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