日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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メタボロミクスとトランスクリプトミクスの統合による未知遺伝子の機能同定
*平井 優美Marion Klein藤川 雄太矢野 美弦Dayan Goodenowe山崎 泰代金谷 重彦中村 由紀子北山 雅彦鈴木 秀幸櫻井 望柴田 大輔Jim TokuhisaMichael ReicheltJonathan GershenzonJutta Papenbrock斉藤 和季
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p. 150

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抄録

演者らは、メタボロミクスとトランスクリプトミクスを統合することで、硫黄欠乏に対する植物の応答の全体像を明らかにしようとしている。未知の遺伝子-代謝物ネットワーク、遺伝子-遺伝子ネットワークを解明するため、硫黄欠乏処理したシロイヌナズナのメタボローム・トランスクリプトームの時系列データを単一のデータセットに統合して一括学習自己組織化マッピング(BL-SOM)により解析した。BL-SOMはクラスター解析の1つで、同じ蓄積パターンや発現パターンを示す代謝物・遺伝子をクラスター化する再現性・精度に優れた方法である(1)。これにより既知の遺伝子-代謝物ネットワーク、すなわち硫黄同化系遺伝子群とその正の制御因子であるO-アセチルセリンの相関を示すことができ、この方法の有用性が示された。また、未知の遺伝子-遺伝子ネットワーク、すなわちグルコシノレート生合成系遺伝子群の相関が見つかり、これに基づいて未知であったグルコシノレート生合成に関わるスルホトランスフェラーゼ遺伝子を同定することができた。この方法は、遺伝子の機能同定、とりわけ代謝関連遺伝子でその破壊株が明らかな表現型を示さない遺伝子の機能を推定するのにも有用である。
(1) Hirai MY et al. (2004) Proc Natl Acad Sci USA 101: 10205-10210

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© 2005 日本植物生理学会
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